○北茨城市火災調査規程
平成23年3月31日
消本訓令第1号
注 令和5年1月から改正経過を注記した。
(趣旨)
第1条 この規程は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得るため、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づいて行う火災の調査(以下「火災調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 爆発現象 化学的変化による燃焼の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(3) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集し、活用するための質問、実況見分、鑑定、実験、照会等の一連の行動をいう。
(4) 鑑定 火災に関わる物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれに関連する現象について、科学技術的手法により、必要な試験及び実験を行い、その結果を基に火災原因判定のための資料を得ることをいう。
(5) 調査員 調査に従事する消防吏員をいう。
(6) 関係者等 法第2条第4項の関係者及び火災の発見者、通報者、初期消火者その他調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。
(7) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいう。
(8) 建物の収容物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物その他バルコニー、ベランダ等に置かれた物をいう。
(9) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製造された自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。
(10) 被けん引車 車両によってけん引される目的で製造された車及び車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。
(11) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。
(12) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項の航空機をいう。
(13) 森林 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に規定する森林をいう。
(14) 原野 自然に雑草又はかん木類が生育している土地で人が利用しないものをいう。
(15) 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(16) 製造物 製造物責任法(平成6年法律第85号。以下「責任法」という。)第2条第1項の製造又は加工された動産をいう。
(17) 欠陥 責任法第2条第2項の欠陥をいう。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(2) 車両火災 車両及び被けん引車又はそれらの積載物が焼損した火災をいう。
(3) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(4) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(5) 林野火災 森林、原野又は牧野の樹木、雑草、飼料、敷料等が焼損した火災をいう。
(6) その他の火災 前各号以外の物が焼損した火災をいう。
2 前項の規定は、爆発現象による破損等のみの火災の種別について準用する。
(調査の区分及び範囲)
第4条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2 火災原因調査の範囲は、次のとおりとする。
(1) 出火前の状況
(2) 出火原因
(3) 延焼拡大の状況
(4) 初期消火等の状況
(5) 避難の状況
(6) 消防用設備等の状況
(7) 死傷者の状況
(8) その他必要な事項
3 火災損害調査の範囲は、次のとおりとする。
(1) 焼き損害
(2) 消火損害
(3) 爆発損害
(4) 火災による死傷者
(調査責任)
第5条 消防長は、火災の調査責任を有する。
2 常磐自動車道において発生した火災については、関係市町村が締結する茨城県高速自動車道等における消防相互応援協定に基づき実施するものとする。
(体制の確立)
第6条 消防長は、調査員の調査技術及び調査能力の向上に努めるとともに、必要な資機材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
(本部の設置)
第7条 消防長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するために必要があると認めるときは、調査本部(以下「本部」という。)を設置するものとする。
2 本部の組織編成等についての必要な事項は、消防長の指示により実施するものとする。
(調査の実施)
第8条 消防長は、火災が発生したことを知ったときは、直ちに調査に着手しなければならない。
2 消防長は、調査員を指定して調査に従事させるものとする。
(調査員の心得)
第9条 調査員は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査の結果を効果的に消防行政に反映させること。
(2) 調査は事実の確認を主眼とし、先入観にとらわれることのないよう留意すること。
(3) 民事的紛争に関与しないよう留意すること。
(4) 警察その他関係機関との緊密な連絡の下に調査に当たること。
(5) 調査員の調査現場その他関係する場所への立入りは、関係者の立会いを得ることを原則とする。
(調査の原則)
第10条 調査は、物的証拠を主体とし、関係者等の供述に基づいて検討を加え、科学的方法による合理的な事実の解明を図らなければならない。
(火災状況の見分)
第11条 火災現場に出場した職員(以下「消防隊員等」という。)は、消防活動を通じて火災状況の見分に努めなければならない。
2 消防隊員等は、出場途上及び現場において関係者等への質問及び現場の状況から、発見、通報、初期消火、火気管理、避難及び死傷者の状況、消防対象物のり災状況並びに消防用設備等の使用及び作動状況を把握し、事後の調査に活用させるよう配慮しなければならない。
3 前項に規定する現場における質問は、迅速かつ的確に行うものとする。
(現場の保存)
第12条 消防隊員等は、消防活動をするに当たっては、事後の調査の支障とならないよう現場の保存に努めなければならない。
2 消防隊員等は、現場において死者を発見したときは、所轄警察署長に通報し、その現場の保存に努めなければならない。
(質問)
第13条 調査員は、関係者等に対して調査上必要な事項を質問し、火災状況の把握に努めなければならない。
2 少年(18歳未満の者をいう。)、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条の身体障害者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条の精神障害者(以下「少年等」という。)の関係する火災で、少年等に対し前項に規定する質問を行う場合は、立会人を置いて行うものとする。ただし、立会人を置くことにより真実の供述を得られないと判断されるときは、この限りでない。
3 前項の質問を行うに当たっては、少年等の心情を考慮し、十分な理解をもって当たらなければならない。
4 少年等は、現場の見分に立ち会わせてはならない。ただし、年齢、心情その他の事情により支障がないと認められるときは、この限りでない。
5 外国人の関係する火災において、外国人に対し第1項に規定する質問を行う場合は、通訳人等を積極的に活用し、正確な情報を得るよう努めるものとする。
(官公署への照会)
第14条 消防長は、官公署に対し調査に関する事項を照会するときは、火災調査関係事項照会書(様式第1号)により行うものとする。
(資料の提出)
第15条 消防長は、現場において立証のための調査が必要と認められるときは、関係者等の了解を得て資料を提出させることができる。
3 消防長は、提出された資料を返還するときは、調査資料保管書と引換えにこれを行うものとする。
(鑑定)
第17条 消防長は、調査上特に必要と認めるときは、鑑定依頼書(様式第7号)により公的機関等に鑑定を依頼することができる。
(調査書類の作成及び管理)
第18条 消防長は、火災調査に必要な書類(以下「調査書類」という。)を作成し、管理しなければならない。
2 調査書類は、次のとおりとする。
(1) 火災調査報告書(様式第8号)
(2) 火災調査書(様式第9号)
(3) 火災原因の判定等に関わる調書
ア 火災原因調査報告書(様式第10号)
イ 火災原因判定書(様式第11号)
ウ 防火管理等調書(様式第12号)
エ 危険物施設等調書(様式第13号)
(4) 火災出場時における見分調書(様式第14号)
(5) 実況見分調書(様式第15号)
(6) 質問調書(様式第16号)
(7) 損害調査に関わる調書
ア 損害調査書(様式第17号)
イ 建物・収容物損害調査書(様式第18号)
ウ 建物以外の損害調査書(様式第19号)
エ 死傷者調査書(様式第20号)
3 調査書類には、調査の内容を明らかにするため、必要な写真及び図面を作成し、添付するものとする。
4 調査書類は、火災の程度及び種別に応じ、次の基準により作成するものとする。
(1) 建物のぼや火災、林野火災、車両火災及びその他の火災で、損害額が計上されない火災 火災調査書、実況見分調書並びに防火管理調書、質問調書及び損害調査に関わる調書のうち必要な調書
(2) 前号に掲げる以外の火災及び消防長が必要と認める火災 火災調査書、火災原因判定書、実況見分調書、質問調書並びに火災出場時における見分調書、防火管理調書及び損害調査に関わる調書のうち必要な調書
6 消防長は、鑑定書、調査員による実験結果報告書等の火災原因の立証のために必要な資料についても、調査書類と併せて保管しなければならない。
(原因の判定)
第19条 火災の原因は、火災の実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討し、判定するものとし、物的調査及び人的調査による資料により裏付けるものとする。
(速報)
第20条 調査員は、火災調査を行ったときは、その概況を消防長に速報しなければならない。
(1) 第18条第4項第1号に規定する火災 火災が発生したことを知った日から起算して20日以内
(2) 第18条第4項第2号及び同条第5項に規定する火災 火災が発生したことを知った日から起算して50日以内
(火災損害調査)
第22条 消防長は、調査員に第4条第3項の火災損害調査を実施させるとともに、り災した消防対象物の関係者に対し、次に掲げるり災申告書の提出を求めるものとする。
(1) 不動産り災申告書(様式第21号)
(2) 動産り災申告書(様式第22号)
(3) 車両・船舶・航空機り災申告書(様式第23号)
(4) 林野・その他の物件り災申告書(様式第24号)
(り災証明)
第23条 法第2条第4項の関係者からり災証明書の交付申請があったときは、北茨城市消防本部証明事務取扱規程(昭和63年北茨城市消防本部訓令第2号)により、り災証明書を交付するものとする。
(照会及び証人等の対応)
第24条 消防長は、裁判所、捜査機関等から調査結果の内容について照会があったときは、調査書類の抄本を送付し、又は内容について回答することができる。
2 消防長は、前項の照会に対応するときは、個人の名誉及びプライバシーを尊重するとともにその他消防行政に及ぼす影響に細心の注意を払わなければならない。
3 調査員は、自己の担当した調査について捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼出し若しくは召喚を受けたときは、消防長にその事案及び概要を報告しなければならない。
4 前項に規定する場合において、調査員は、当該要請等に応じて出頭したときは、その結果について消防長に報告しなければならない。
(書類等の保存)
第25条 調査書類は、北茨城市消防文書取扱規程(昭和62年北茨城市消防本部訓令第4号)第6条の規定により読み替えて適用する北茨城市文書管理規程(平成13年北茨城市訓令第5号)の規定により保存するものとする。
(その他)
第26条 この規程に定めるもののほか必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成28年消本訓令第13号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
附則(令和5年消本訓令第1号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。
(令5消本訓令1・一部改正)
(令5消本訓令1・一部改正)
(令5消本訓令1・一部改正)
(令5消本訓令1・一部改正)
(令5消本訓令1・一部改正)
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