公開日 2025年06月05日
これまでは、隣の土地から境界を越えて木の枝が伸びてきた場合、自分で切り取ることができず、その木の所有者に切ってもらうか、訴えを起こして切除を命ずる判決を得て強制執行の手続きをとる必要がありました。
2023年4月1日の民法改正により、越境された土地の所有者は、木の所有者に枝を切り取らせる必要があるという原則を維持しつつ、
次のいずれかの場合には、枝を自ら切り取ることができるようになりました(民法233条3項1号~3号)。
(1)竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが、竹木の所有者が相当な期間内に切除しないとき
(2)竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき
(3)急迫の事情があるとき
※越境する竹木が数人の共有に属するときは、切除を求められている各共有者は、その枝を切り取ることができる(民法233条第2項)
催告してからどのくらい待てばいいですか?
上記(1)の「相当の期間」とは、越境した枝を切り取るために必要な時間的猶予を与える趣旨であり、事案によりますが、基本的には2週間程度と考えられます。
かかった費用は請求できますか?
越境した枝の切取り費用は、枝が越境して土地所有権を侵害していることや、土地所有者が枝を切り取ることにより木の所有者が本来負っている枝の切除義務を免れることを踏まえ、基本的には、木の所有者に請求できると考えられます(民法第703条、第709条)。
枝を切るのに隣地に入っていいの?
越境した枝を切り取るのに必要な範囲で、隣地を使用することができます(改正後の民法209条)。ただし,あらゆる場合に立入りができるのではなく、枝を切るために必要な範囲内で、かつ、隣地の所有者や現に隣地を使用している人にとって損害が最も少ない日時、場所及び方法を選ぶ必要があります。
関連資料
越境した竹木の枝の切り取りについて(法務省資料)[PDF:305KB]
民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について(法務省)より抜粋